商空間とは何か~商集合から余談:グラスマン多様体まで~(テスト投稿をそろそろ済ませるよ。)

始めて2年以上が経過するのでそろそろテストとして何かしら投稿したくなった。というのも同僚が密かに技術的な備忘録としてブログを開設していることを知り、勉強した内容を簡単にまとめているのを見て触発されたからである。とりあえず何か話題がないかと考えたところ、ノートにまとめた商空間に関する話題があったのでここに投稿してみることとする。

概要

  • ゴール:テスト投稿を済ませるよ。
  • 内容:特に話題はないので商空間の話をするよ。
  • 結論:商空間の話題に対する結論は、「商空間V/Nの元はふつうの空間のようには見えないが、ベクトル空間の構成だけは持っていて実に面白い」ということだよ。
  • 所感:待ってブログ書くのめちゃめちゃ時間かかるししんどいよ。頻繁に更新してる人とか何なの?暇...聖人なの?(理論の話題メインで書くのやめよかな。。。)

参考

商空間とは

とりあえずWikipediaパイの説明。

線型代数学において商線型空間(しょうせんけいくうかん、英: quotient vector space)あるいは単に商空間 (quotient space) とは、ベクトル空間Vとその部分線型空間Nに対して、Nに属する全てのベクトルを0に「潰して」得られるベクトル空間である。これを部分空間N によるVの商空間あるいはNを法とするVの商空間といい、V/Nで表す。

なるほどわかるようなわからないようなわからない。 そもそも「商」がよくわからない(爆)。

商集合

商空間の話に入る前に、商集合について言及する1。 まず、自然数N3で割ったあまりをmod演算で表すとN\;{\rm mod}\;3と書く。 例えば、1\;{\rm mod}\;3=12\;{\rm mod}\;3=23\;{\rm mod}\;3=04\;{\rm mod}\;3=15\;{\rm mod}\;3=26\;{\rm mod}\;3=0なんかがある。 この時、あまりが等しい数の集合、例えば1,4,7,...は同値であると言い、これらを同値類と言う。 また、1,4,7,...を3で割ったときのあまりはすべて1であることから、1を代表元と言い、[1]と書く。 Nを3で割ったあまりは、0,1,2のいずれかであるため、この時の代表元は[1],[2],[3]の3つであることがわかる。 これら代表元を要素とする集合を商集合と呼ぶ。 要するに、商集合はある集合を代表元で類別した集合ということになる。 f:id:TitanKernel:20190302210855j:plain

一方で、上記の集合は「自然数N\simによる商集合」とも言う。 これをN/3、またはN/\simと書く。 ここで、\simは同値関係と呼ばれる関係を表しており、上記の例では3が同値関係を表している。 同値類1,4,7,...は同値関係で結びついていて、1\sim 4と書くことができる。 途中で、「商集合はある集合を代表元で類別した集合」といったが、「商集合はある集合を同値関係\simで類別した集合」とも言える。

商空間

とうことでそろそろ本題の商空間の話をしたい。 商空間というのは、ざっくり言うと商集合の概念を空間に広げたものである。

商集合まではその要素間の関係は特に考慮していなかった。 例えば、[1],[2],[3]の3要素はお互いに特に関係がない。 商空間は、その要素間の関係が記述できる。 具体的には商空間はベクトル空間の性質をそのまま持っている。

(執筆途中)

余談:グラスマン多様体G(k,V)

ところで皆様はグラスマン多様体というのもをご存知ですか? 私は知りませんよ。あなたが知ってるんです、Wikipedia先輩。

In mathematics, the Grassmannian Gr(k, V) is a space which parametrizes all k-dimensional linear subspaces of the n-dimensional vector space V.

要するに、グラスマン多様体G(k,V)n次元ベクトル空間V内に存在するk次元の部分空間すべての集合(空間)として定義されています。 ちなみに次元数を明確にしてG(k,n)としても良いです。

ここで注目すべきはG(k,V)上の1点が部分空間であるということです。 これはまさに商空間の概念です。 V/Nは、Nに属する全てのベクトルを[N]につぶして得られる空間でした。 この時、[N]Nの代表元(ベクトル)であり、すなわち部分空間Nが1点[N]になったということを表しています。 G(k,V)はこの1点に限らず、V内の考えうる全ての部分空間を点として表して構成される空間です。 グラスマン多様体は商多様体とも呼ばれており、高次の概念であることが分かります。

このグラスマン多様体は数学的に研究されているだけではなく、工学分野へも応用されています。 私が知ってる代表的なものは機械学習、特に分類タスクを解くような識別技術への応用です。 グラスマン多様体非線形な空間であるため、単純に線形分離できないような複雑な識別境界を持つような他クラス分類問題を高精度に解くことができることで知られています。 個人的には、この技術がデータを部分空間とする場合に適しており、ベクトルをデータとする通常の機械学習技術とは随分毛色が異なるという点でとても興味深いです。 このような技術についてはまたいつか記事を書きたいと思います。


  1. なぜなら商空間は商集合に空間の概念を導入したものだからね。